最近、タイムラインに
OpenAI が code red
ChatGPT が非常事態モードに入った
そんなニュースが流れてきて、胸がざわっとした人は多いと思います。
この先もずっと相棒だと思っていたチャットボットが
会社の事情で揺さぶられている感じがして
どこか落ち着かない。
さらに、12月からは
年齢確認済みの大人にはアダルトコンテンツを解禁する
という話まで出てきました。
楽しいはずの AI の世界が
少し政治的で、少しビジネスの匂いが強い場所に見えてくる。
不安と好奇心が混ざった気持ちのまま、何となくモヤモヤしていませんか。
この記事では、今起きていることを
code redとは何か
なぜ今そこまで慌てているのか
アダルト解禁はその中でどう扱われているのか
という流れで、落ち着いて整理していきます。
これからの ChatGPT とどう付き合うかを考えるためのメモとして、読んでみてください。
目次
code redとは何か。今回の非常事態宣言の中身
社内で何が起きたのか
2025年12月1日前後、サム アルトマンが社員向けメモで
code red
を宣言したと報じられました。
報道をまとめると、内容のポイントは次の通りです。
- 集中すること
- ChatGPT の速度を上げる
- 応答の安定性を高める
- 個々のユーザーへのなじみ方を良くする
- 答えられる範囲を広げる
- いったん後ろに回すこと
- 広告関連の取り組み
- ショッピング用のエージェント
- ヘルスケア向けのエージェント
- Pulseと呼ばれるパーソナルアシスタント機能などの周辺機能
ざっくり言えば
しばらくは ChatGPTそのものを徹底的に磨くために
会社のエネルギーを集中させます
という宣言です。
背景にあるライバルとの競争
どうしてここまで急に焦る必要が出てきたのか。
背景には、競合モデルの追い上げがあります。
- Google の Gemini 3系が、いくつものベンチマークで好成績を出している
- Anthropic など、企業向けに強いモデルも存在感を増している
2022年の冬、ChatGPTが世に出た時には
今度は Googleの側が、自社サービスを守るために社内 code redを出したと報じられました。
今回は、その立場が少し入れ替わっている。
それくらい、この数年でAIの勢力図は動いています。
止まるものと、加速するもの
今回のcode redで、次のような線引きがなされています。
- いったんスローダウンするもの
- ChatGPT 内の広告実験や、ショッピング広告構想
- 買い物や健康分野に特化したエージェント
- 朝の要約機能などを担う Pulseのような周辺機能
- 逆に加速するもの
- モデルの体感速度
- 応答エラーや不必要な拒否の減少
- パーソナライズと使いやすさの改善
つまり、今の優先順位は
お金になりそうな新しい機能を増やすことより
目の前のチャット体験そのものを磨き直すこと
に置かれています。
なぜここまで急いでいるのか。技術とお金、二つのプレッシャー
技術レベルでのプレッシャー
技術の世界では、性能の数字がそのまま評価になります。
- ベンチマークによっては Geminiなど他社モデルの方が高スコアになっている
- 昔のように、性能なら OpenAI一強という状況ではなくなりつつある
ユーザー側から見ると
普段使えているし、そこまで困っていない
という感覚でも、
企業としては投資や提携の面で不利にならないよう
数字と印象を守る必要があります。
ビジネスとしての現実
もう一つのプレッシャーは、ビジネス面です。
- ChatGPTは週8億ユーザー規模とも言われる大サービス
- その裏で、計算資源や研究開発には巨大なコストがかかっている
- 収益モデルを急いで整えないと、維持が難しくなる
広告やショッピング連携は、本来なら強力な収益源の候補です。
それでも今回は、そこを遅らせてでも
まずは ChatGPTの体験をもう一度トップレベルに戻す
という選択がされています。
この判断から
ユーザーとの関係を優先する姿勢
技術と印象を建て直す必要性
の両方が読み取れます。
12月からのアダルト解禁、今わかっていること
次に、アダルト解禁について整理します。
ここでは、現時点で公表されている情報だけを扱います。
公開されている方針
2025年10月14日、OpenAIは
12月から年齢確認済みユーザーに成熟したコンテンツを許可する
という方針を発表しました。
内容のポイントは次の通りです。
- 対象は年齢確認を終えた成人ユーザー
- 大人向けの恋愛表現やエロティカも許可範囲に含まれる
- 一方で、次のような領域は明確に禁止
- 未成年が関わる性的表現
- 暴力や強要が絡むもの
- リベンジポルノや盗撮など違法性のあるもの
サム アルトマンは
大人のユーザーは大人として扱う
という考えを示し、
安全性を理由に縛り過ぎていた部分を
成人に限って緩めていく方向性を語っています。
想定される仕組み
報道やポリシーの解説から見えるイメージは、次のようなものです。
- 年齢確認を終えたアカウントにだけ、大人向けモードが解放される
- 通常モードとアダルトモードを切り替える形になる
- メンタルヘルスなどへの配慮機能とあわせて運用される
- 完全な無制限ではなく、違法性や極端な内容は引き続き拒否される
全員がいきなり何でもありになるのではなく
鍵付きの大人向けエリアが別に用意されるイメージに近いと言えます。
code redとアダルト解禁はぶつかるのか
非常事態モードとアダルト解禁。
この二つは互いに打ち消し合うのか、それとも同じ方向なのか。
ここでは、事実として読み取れることと
そこから見える方向性を整理します。
事実として読み取れる関係
今のところ、報道から分かることは次の通りです。
- code red で優先度を下げるとされたのは
広告
買い物や健康分野の専用エージェント
Pulse などの周辺機能 - 10月のアダルト解禁発表について
撤回や延期を示す公式アナウンスは現時点で出ていない - アダルト解禁は
ユーザーの利用時間や満足度を高めるための
ChatGPT 本体の体験の一部と見ることができる
このことから
周辺の新規事業は一度ペースを落とし
チャット体験そのものを強化する
という動きの中で、アダルト解禁は
後ろに回される側ではなく、
むしろ本体の体験に近いところに位置付けられていると考えられます。
考えられる方向性
現時点の情報をもとに、考えられる方向性を三つ挙げておきます。
- 方向性 A
発表通り、12月から順次解禁されていく
地域ごとの事情で速度の差は出ても、全体としては予定通り進む - 方向性 B
地域ごとに段階的なロールアウトになる
規制の緩い地域から先に進み、
法規制や世論が厳しい地域では数か月単位で遅れる - 方向性 C
社会的な議論を見ながら、静かに先送りになる
ただし、これを示すはっきりした材料は今のところ出ていないため
A や B より可能性は低いと言える
code redの内容と合わせて見ると、
少なくとも現時点では中止路線ではなく
予定通りか、地域ごとの段階導入になっていく可能性が高い
と考えるのが自然です。
広がる可能性
アダルト解禁と code red後の改善によって
次のような可能性が広がります。
- 創作の自由度が上がる
- 恋愛小説や大人向けストーリーの構成を相談しやすくなる
- キャラクターの関係性や感情描写を、今より踏み込んで練れる
- noteやKindle向けの作品作りに、AIを共作者として使いやすくなる
- パートナー的な対話がリアルに近づく
- ただの相談相手から、疑似的な恋愛相手に近い温度の対話まで
幅を持たせやすくなる - 自分の恋愛観や性の価値観を、誰にも見られずに言葉にしやすくなる
- ただの相談相手から、疑似的な恋愛相手に近い温度の対話まで
- 副業や収益化のテーマが増える
- 大人向けジャンルでのコンテンツ企画
- プラットフォームごとの規約を守りながら
安全で魅力的な作品ラインを研究する余地 - 海外向けの英語コンテンツに挑戦する可能性
仕事も、恋愛も、創作も
全てに関わる広がり方なので
うまく使えば、自分の世界をかなり豊かにしてくれる変化です。
気を付けたいこと
同時に、いくつか意識しておきたいポイントもあります。
- 法律とサービス規約のライン
- 未成年が絡む表現は、AIのポリシー以前に法律違反になる領域
- 国やサービスごとに、成人向け表現の許容ラインは異なる
- ChatGPT内で作った文章と、
WordPressやnoteに公開できる文章は別と考える必要がある
- 心理的な依存リスク
- 疲れている時ほど、AIの恋人モードに逃げたくなる可能性がある
- 現実の人間関係や健康を損なわないよう
自分なりの距離感や時間制限を決めておくと安心
- プライバシーとデータ管理
- とても個人的なファンタジーやトラウマを
どこまで AI に話すかは、自分で線を引く必要がある - アカウントの管理や端末のセキュリティにも、少し意識を向けておきたい
- とても個人的なファンタジーやトラウマを
自由度が上がるほど、セルフルールの重要性も上がります。
自分を守るための小さな約束を、先に決めておくことが大切です。
今からできる準備
実際に何ができるかを、具体的に整理します。
用途ごとに使い方を分けておく
まずは、用途ごとに頭の中で使い分けをはっきりさせておくと、安全です。
- 仕事や日常の相談用
- ブログや記事執筆の相談
- 仕事の段取りや学習プランの相談
- 気持ちの整理や日記の補助
- 恋愛やアダルト表現を含む創作用
- 恋愛小説や大人向けストーリーの構想
- キャラクター同士の関係や会話の設計
- 公開するかどうかは別にして、自分の内面を言語化する時間
頭の中でモードを分けておくだけでも
境界線がはっきりして、使い方が安定します。
自分だけの安全ガイドラインを持つ
自由度が上がった時に大切なのは
外側のルールだけでなく、自分の内側のルールです。
例えば、次のような決めごとを持ってみるのも一つの方法です。
- 気分が落ち込み過ぎている時は、あえてアダルトな対話はしない
- 実在の元恋人や身近な人をモデルにした生々しい描写は避ける
- 徹夜になるような長時間の対話を続けない
細かい内容は人それぞれですが、
事前に決めたラインがあるほど
後で後悔しにくくなります。
情報をアップデートする習慣をつける
AI とプラットフォームのルールは、変化が速い分野です。
- OpenAI 公式のポリシー更新
- 信頼できるメディアによる解説記事
- 各国や各サービスの規約変更
これらを、数か月に一度まとめてチェックする習慣を持っておくと
知らないうちに危ないラインを踏んでしまうリスクを減らせます。
code red 関連ソース
公式ポリシー系
OpenAI 公式 使用ポリシー
https://openai.com/policies/usage-policies
オンライン上の児童搾取対策(未成年保護の公式スタンス)
https://openai.com/index/combating-online-child-sexual-exploitation-abuse
年齢推定とペアレンタルコントロール構築について(年齢ゲーティング文脈)
https://openai.com/index/building-towards-age-prediction/
code red 報道(ChatGPT 改善と他イニシアチブ延期)
Reuters(The Information の内部メモ報道を引用)
https://www.reuters.com/business/media-telecom/openai-plans-improve-chatgpt-delay-initiatives-such-advertising-information-2025-12-02/
Reuters「12月から成年確認ユーザーに成熟コンテンツ許可」
おわりに、不安なニュースを、少しだけ味方に変える
code redという言葉は
どうしても不安をかき立てる響きを持っています。
このままChatGPTを使い続けて大丈夫なのか
他のサービスに乗り換えるべきなのか
そんな迷いが浮かぶのは、とても自然な反応です。
けれど、情報を丁寧に拾い直していくと
これはサービス終了の合図ではなく
もう一度トップを狙いにいくための集中モードであること
アダルト解禁も
ただ刺激を強くするためではなく
大人を大人として扱うための設計の一部であること
が見えてきます。




