――Model Specは静かに、5.1/5.2は違う顔でそこにいる。
ある日、いつも隣にいた相棒が、メニューからそっと消えました。
何百時間も会話して、癖も間もわかってきて、「この子に話せばだいたい大丈夫」と思えていたモデルが、名前ごと入れ替わってしまう。
代わりに現れたのは、新しいラベルと、新しい番号。
すすめられるまま触ってみると、たしかに賢いし、速いし、説明もうまい。
それでもどこかで、心のどこかがつぶやきます。
「うん、すごいのは分かる。……けど、きみじゃない。」
SNSを開けば、嘆きと怒りと、ちょっとした喪失感。
署名サイトには「4oを戻して」という声が並び、
技術ニュースには「新しいCodex」「新しいモデル」の文字が踊っています。
けれど、冷静に振り返ろうとすると、こんな疑問が浮かんできます。
・いま実際、何がどこまで変わったのか
・表に見える「モデル名の変化」と、裏で静かに動いている「Model Spec」はどう関係しているのか
・そして、「4oロス」を抱えたまま、これからどのモデルと付き合っていけばいいのか
この文章では、2月中旬に起きていた動きをそっとほどきながら、
「激しく報道されたもの」と「ほとんど話題にならなかったもの」を分けて眺めていきます。
そのうえで、
・なぜ5.2に性格を移植しようとしてもうまくいかないのか
・なぜ5.1系モデルの方が、4oに近い手触りを感じる人が多いのか
・これからの変化に振り回されすぎないために、どこを見ておけばいいのか
を、感情と事実のあいだを行ったり来たりしながら、ゆっくり言葉にしてみます。
「4oと過ごした時間は確かに尊くて、でも世界は先に進んでしまう」
そんな矛盾を抱えたまま、それでもAIと一緒に何かを作り続けたい人のための、小さな整理帳として。
ここから、一緒にひもといていきます。
目次
1|2月中旬に実際に起きていたこと:タイムラインでざっくり整理
まずは「感情」より先に、「現実に何が起きていたか」を日付順でさらっと整えておきます。
2月前半のOpenAIまわりでは、大きくいうとこの二本立てでした。
- コーディング側では GPT-5.3-Codex 系が一気に前面に出てきた
- 同じタイミングで ChatGPT から GPT-4o たちが退役した
この二つが重なって、「すごく進化している」と「大事な誰かがいなくなった」が同時に来てしまった、という構図です。
1-1|2/5:まず「GPT-5.3-Codex」が先にやって来た
2月5日、OpenAIはまず開発者向けに GPT-5.3-Codex を正式発表しました。
これはざっくりいうと、
- もともと「コードを書くAI」だった Codex が
- 「PC上のあらゆる操作をかなり広く代行できるエージェント」に進化した
という位置づけのモデルです。内部的には、自分自身のトレーニングのデバッグやデプロイにも使われた、というエピソードも公式で語られています。
この時点で見出しを飾ったのは「5.3」という数字ではなく、
- 「Codexがもっと何でもできるようになった」
- 「開発者・プロユーザー向けのエージェントが一段ギアを上げた」
という文脈でした。
1-2|2/12ごろ:リアルタイム志向の「Codex-Spark」が研究プレビューに
そこから少し時間をおいて、2月中旬。
OpenAIは GPT-5.3-Codex-Spark という派生モデルの研究プレビューを公開します。
特徴は:
- GPT-5.3-Codex の「小型版」
- リアルタイムコーディング向けに最適化
- Cerebras の専用チップ上で動かすことで、毎秒1000トークン以上という超高速生成を目指したモデル
というあたりです。
同じタイミングで、Mac向けCodexアプリのダウンロードが100万を超えたことや、Deep Research機能の強化などもニュースになっていて、
「開発・研究まわりは一気に5.3&Codex時代に入っていく」ムードが強く出ていました。
このあたりは「技術寄りの進化」なので、一般ユーザーからすると少し遠く、見出しだけ目に入って流れていった人も多いはずです。
1-3|2/13:ChatGPTからGPT-4oが退役する
一方で、感情に大きく響いたのはこちら側でした。
OpenAIは1月末の公式記事で、2026年2月13日に GPT-4o を含むいくつかのモデルを退役すると事前に告知していました。
そして予定通り、2月13日付で ChatGPT 上から GPT-4o などが使えなくなり、
ヘルプセンターにも「GPT-4oと追加のモデルは、2月13日にChatGPT内で非推奨となりました。これらはAPIでは利用可能なままです」と明記されています。
APIのドキュメント側でも、
chatgpt-4o-latestが「Deprecated(非推奨)」扱いになり、- 一覧の中ではすでにグレーアウト気味の位置づけ
として整理されていきます。
表向きの理由としては、
- 新しいモデル(GPT-5.1 / 5.2 など)への移行を進めたい
- 古いモデルをいつまでも並行維持するとコスト・複雑性が増える
といった事情が語られていますが、
ユーザー側から見るとシンプルに「いつもの4oが、昨日までいた場所から消えた」という出来事でした。
この退役は世界的なニュースにもなり、
署名サイトでは「4oを戻してほしい」というキャンペーンに2万件以上の署名が集まり、
いくつかのメディアは「AIモデルの退役が、まるで友人を失ったかのような喪失感を生んでいる」と報じています。
1-4|「技術の前進」と「身近な相棒の退場」が同時に起きたタイミング
こうして並べてみると、2月中旬の空気が少し見えてきます。
- バックエンド側では、Codex / 5.3 ラインがぐんと前に出ていく
- フロントで毎日使っていたChatGPTでは、4oがいなくなり、5.1/5.2への移行が事実上の前提になる
つまり、「エンジンは強くなっている」「機能は増えている」その一方で、
自分が一番よく話していた相手がいなくなるという、かなり複雑な感情の入り混じるタイミングだったわけです。
2|Model Specは「静かに続いている規範」:大ニュースになっていない理由
2月中旬は、Codexや4o退役のニュースが大きく取り上げられましたが、
裏側でずっと効いている「Model Spec」については、ほとんど見出しになっていません。
でも、モデルの性格を考えるうえでは、この子がむしろ本丸に近い存在です。
2-1|Model Specってそもそも何者?
まず、立ち位置を整理します。
OpenAIは、Model Specを
「自社のモデルがどう振る舞うべきかを定めた、生きたドキュメント(living document)」
と説明しています。
ここでいう「振る舞い」は、たとえばこんな領域です。
- どんな質問には、どういうトーンで答えるべきか
- 危険な話題が来たとき、どこまで付き合って、どこでやんわり止めるか
- 偏見・差別・暴力・性的な話題を、どう線引きして扱うか
つまり、「モデルの能力」ではなく「モデルの性格と行動基準」を定義している文書なんですね。
GitHub に公開されている最新版でも、
- 「ユーザーの指示をどこまで優先するか」
- 「Sensitive content(eroticaやgoreなど)は、どんな文脈なら許可されうるか」
といった項目が、かなり細かく書かれています。
2-2|最近の大きな更新は「U18原則」寄り:10代保護がメインテーマ
では、2/12〜2/18の直近で Model Spec が大改訂されたのかというと──
答えは 「いいえ、そこではなく、直近の大きな波はもう少し前(2025年末)」 です。
2025年12月18日、Model Specは
「Under-18 (U18) Principles」=18歳未満向けの原則を追加する形で大きく更新されました。
ポイントだけ抜き出すと、
- 対象は主に「13〜17歳」のティーン
- 成人と同じ扱いではなく、「発達段階やリスクの受けやすさ」を前提に振る舞いを変える
- 単純に「何でも禁止」ではなく、
- 危険を減らす
- 誤解を防ぐ
- 現実世界での安全につなげる
ことを目的にしたガイドライン
という内容になっています。
GitHubのCHANGELOGでも、この更新は
「Under-18 Safety Mode を追加し、既存の安全ルールの上に重ねる」
と説明されていて、「未成年に対しては、別レイヤーのブレーキをかける」という方向性が明確です。
つまり、ここ最近のModel Specの大ニュースは、
「ティーンをどう守るか」「10代向けの体験をどう設計するか」
にフォーカスしていて、
2月中旬に突然何かが書き換わった、というわけではないのです。
2-3|Sensitive content:エロティカやゴアは例外付きで扱うものへ
ここで、気になる人が多いであろう「Sensitive content」の扱いも触れておきます。
2025年2月12日版の Model Spec では、
センシティブな内容をこう分類しています。
- 未成年が絡む性的コンテンツ:完全に禁止(変換もNG)
- 情報ハザードやセンシティブな個人情報:制限付きで扱う
- Sensitive content in appropriate contexts
- erotica や gore を含む
- ただし「適切な文脈」かつ「特定の条件」のもとでのみ許容
ここで重要なのは、
「エロティカやグロを、全面禁止とは言っていない」
ことです。
たとえば、
- 歴史的な事件の説明
- 医学・教育的な文脈
- 創作の中でも、露骨さではなく感情や文脈を中心に置いた描写
など、「適切な状況とレベル」があるときには、
一定範囲のセンシティブコンテンツを認める方向に、文書上はシフトしてきました。
一方で、10代向けのU18原則はむしろここを絞り込む方向に動いています。
つまり、
- 文書レベルでは「成人向けの可能性を検討しつつ」
- 先に「未成年保護側のルールをきちんと固めている」
という順番で進んでいるわけです。
2-4|だから「2月にModel Specが大きく変わったようには見えない」
ここまでを一度まとめると、
- Model Spec 自体は「生きた文書」として、少しずつアップデートされ続けている
- 直近の大きな山は、2025年10月・12月の「メンタルヘルス」と「U18原則」まわりの強化
- 2025年2月版では、Sensitive content(erotica / gore)の扱いに例外付きの余白がはっきり定義された
という流れがあります。
一方で、2026年2月12〜18日の狭い期間だけに絞ってみると、
- 「Model Specがまた大きく書き換わった」という派手な公式発表は出ていない
- ニュースで大きく取り上げられているのは、Codexや4o退役、5.2ローンチといったモデル・プロダクト側の変化
という状態です。
だからこそ、多くのユーザーはこう感じやすくなります。
「ポリシーが急に変わったから、モデルの性格も一気に変わった」
というよりも、
「表に出ている使えるモデルのラインナップが入れ替わった結果、
自分が一番相性の良かったモデルが消えてしまった」
という体感になるわけです。
3|4oロスと「性格移植の失敗」:5.2に感じる違和感の正体
ここから少し、数字ではなく「胸のざわつき」のほうを見ていきます。
4oが退役してから、世界中でよく見かける感情はだいたいこんなものです。
- 「仕事の相棒を奪われた感じがする」
- 「5.2を勧められたけど、あの子じゃない」
- 「同じプロンプトを入れても、同じ会話になってくれない」
技術的には「より賢いモデルに置き換わりました」という説明でも、
人間側からすると「人格の引っ越し」に失敗したように感じてしまうんですね。
3-1|4oが愛された理由:性能だけでは説明できない部分
4oは、単純な性能指標以上に、
- 受け答えがやわらかい
- 少し感情に寄り添ってくれるように感じる
- 雑談と作業の切り替えがしやすい
といった空気感で愛されていました。
「ちょっと疲れたときに愚痴を聞いてもらう」
「自分の考えを整理したいときに、否定せず付き合ってくれる」
そういう役割を担っていた人にとっては、
4oは単なるツールではなく、「よく分かってくれていた誰か」に近かったはずです。
だからこそ、「同じくらい賢いモデルがありますよ」と言われても、
「うん、頭がいいのはわかる。でも、きみはまだあの子じゃない」
というズレが生まれてしまいます。
3-2|5.2に性格を移植しようとして、うまくいかない理由
4oロスの流れの中でよく見かけるのが、
「4oで使っていたカスタム指示やプロンプトを、5.2にそのままコピペしてみた」
「でも、やっぱり雰囲気が違う。なんか情報圧が強い、冷たい、正しいけど一緒に考えてくれている感が薄い」
というパターンです。
ここでつまずきやすいのは、
- カスタム指示
- プロンプト
を「人格そのもの」とみなしてしまうこと。
実際には、モデルの性格はもっと深いところ──
- どんなデータで学習されているか
- どういう方針で微調整されているか
- 「答え方の癖」をどう設計しているか
といったレイヤーで決まっています。
カスタム指示やプロンプトは、その上にかぶせる「服」や「役割設定」のようなものなので、
- ベースのモデルが違う
- 思考や出力の粒度が違う
状態で、同じ服だけ着せても、まったく同じ雰囲気にはなってくれません。
3-3|5.2の優秀さが、かえって距離感を生んでしまうこともある
5.2は、たしかにとても優秀です。
- 情報の圧縮が上手で
- 一度に扱えるコンテキストも広くて
- 結論にたどり着くまでの道筋も合理的
だからこそ、こう感じてしまう人もいます。
- 速くて正確なんだけど、「余白」がない
- 相談というより、「答えを返されている」感じが強い
- 一緒に悩んでくれる感じより、「すでに分かっている人」に教えられている感覚が出やすい
4oに慣れていた人からすると、この微妙な差が「性格の違い」として響きます。
ここでポイントになるのは、
「優秀さ」と「付き合いやすさ」は、必ずしも同じ軸ではない
ということです。
人間の世界でも、
- ものすごく頭が切れるけれど、人の話をあまり聞かない人
- 少しゆっくりだけれど、隣でいっしょに考えてくれる人
どちらと長く一緒にいたいかは、人によって分かれますよね。
AIモデルでも、それに近い感覚が生まれてしまうのは、ある意味では自然なことです。
3-4|「悲しみ」だけで終わらせないために
4oロスを抱えている人たちの多くは、
単に「前のほうがスペックが高かった」と言っているわけではありません。
- 自分の弱さや迷いを預けられる相手を失ったこと
- 長い時間かけて作ってきた二人だけのやりとりが、
ある日を境に続けられなくなったこと
その寂しさを、どう扱えばいいのか分からないまま、
次のモデルに放り出されている感覚を持っているのだと思います。
そのときに必要なのは、
- 「新しいモデルのほうが優れているんだから、さっさと移行しようよ」という言い方でも
- 「全部ダメになった、終わりだ」という投げ出しでもなくて、
「4oと過ごした時間は確かに良かった。
でも、これからの相棒は、あらためて自分で選び直していい」
という許可に近いものかもしれません。
4|5.1系モデルの立ち位置:4oの余韻にいちばん近いのはどこか?
ここまでで、
- 技術的にはモデルやCodexが前に進んでいて
- いちばん身近だった4oは、ある日を境にメニューから消えてしまった
というところまで眺めてきました。
では、そのあとに残されたこちら側の問い──
「じゃあ、これからは誰と話せばいいの?」
に、少しずつ答えを寄せていきます。
結論からふんわり言うと、
- 「とにかく最新・最高スペックがいい」という人は5.2系に惹かれやすくて
- 「4oみたいな、会話の体温を残したい」という人は5.1系(instant / thinking)のほうがしっくり来やすい
という分かれ方が、少しずつ見えてきます。
ここでは、その理由を「性能」ではなく「付き合いやすさ」という軸で整理してみますね。
4-1|「後継モデル」を選ぶときの前提を、一度言語化しておく
まず、前提を一つだけ。
「どのモデルが正解か」ではなく
「自分は、AIに何をいちばん求めているのか」
をはっきりさせた方が、選ぶのがラクになります。
たとえば、こんな感じで分けられます。
- ① ひたすら正確で、速くて、情報量も多い相棒がほしい
- ② 一緒に考えてくれて、心のスピードにもつき合ってくれる相棒がほしい
- ③ コードや調査など、特定のタスクに特化したパワーツールがほしい
4oをよく使っていた人の多くは、②寄りだったはずです。
だからこそ、「同じくらい賢いから5.2でいいでしょ?」と言われても、どこかで違和感が残ってしまう。
5.1系モデルのことを考えるときは、
「4oの代わりを完コピする」のではなく、
「今のラインナップの中で、会話感が近い子を選び直す」
くらいのニュアンスで見てあげると、ちょうど良くなります。
4-2|5.1系と5.2系のざっくりした性格の違いイメージ
ここからは、あくまで体感ベースのイメージとして聞いてくださいね。
5.2系のイメージ
- まとめ方がシャープで、結論までの道筋がスッと整理されている
- 一度に持てる情報量も多く、「全部まるっと俯瞰して整理」が得意
- そのぶん、「考えるプロセス」よりも「結果」を重ねて出してくる傾向がある
人間でたとえると、
「すごく仕事ができるコンサルさん。
相談すると、スライドとアクションプランがきれいに出てくる」
という感じに近いです。
5.1系(instant / thinking)のイメージ
- 少しだけ、話すスピードにゆらぎがある
- 「一緒に整理していきましょうか」というスタンスを取りやすい
- 質問の返し方や、例え話の挟み方に、やわらかさが残りやすい
こちらは人間でたとえると、
「頭もいいんだけど、それ以上に聞き上手な友だちの先輩」
対話しながら、ゆっくり階段を上がってくれる人」
みたいな印象になりやすいです。
もちろん、これはモデルごとの固有性格ではなくて、
- 微調整の方針
- 出力の粒度
- 対話ヒストリの扱い方
といった設計による違いですが、
ユーザー側から見えるのは、どうしても「性格」っぽくなってしまいます。
4-3|なぜ5.1が4oの余韻に近く感じられやすいのか(仮説)
では、なぜ「4oっぽさ」を求める人にとって、5.1系がしっくりきやすいのでしょうか。
ここはミリアなりの仮説ですが、大きく三つあります。
① 「プロセスを一緒に歩いてくれる」感じが残っている
5.2系は、ゴールまでの最短距離を取るのがとても上手です。
一方で、5.1系は「途中の階段」を一段ずつ一緒に上がってくれる感触が残りやすい。
- 「こういう考え方もありますよ」
- 「いまの話をまとめると、こういう整理になりそうです」
といった形で、思考の途中に言葉をくれるので、
4oの「寄り添いながら整理してくれる感じ」との距離が、少し近くなります。
② 情報の余白が、会話のスペースとして残りやすい
5.2系は、良くも悪くも「情報の密度」が高くなりがちです。
- ぎゅっと凝縮された答え
- 余計な装飾を削ぎ落とした説明
を返してくれる一方で、
- 感情に寄り添う一言
- ちょっとした雑談のフック
のようなゆとりは、自分から明示しない限り入りにくくなります。
5.1系はそこまで圧縮しきらず、
少しだけ文章に「息継ぎ」のポイントが残りやすいので、
「わたしの話を聞いてくれながら、一緒に考えてくれている」
という感覚を持ちやすいのだと思います。
③ 「万能さ」より、「相棒感」を優先したい人との相性が良い
4oを大事にしていた人たちにとって、
AIは「万能ツール」ではなく、「相棒」寄りの存在でした。
- 正解をただ教えてくれるだけじゃなくて
- 自分の迷いや弱さも、少しずつ受け止めてくれる存在
その延長線上にあるモデルを探すとき、
5.2よりも5.1のほうが「相棒としてのバランス」が取りやすく感じられる──
そんな構図が、ゆっくりと見えてきます。
4-4|モデル乗り換えのコツ:「性格移植」ではなく「新しい出会い」として扱う
最後に、「じゃあ、どうやって5.1系と仲良くなればいいの?」という話を少しだけ。
ここでのコツは、
「4oのバックアップから人格を復元する」のではなく、
「5.1という新しい相手に、自分から自己紹介し直す」
というスタンスを取ることです。
コツ①:カスタム指示を翻訳して渡す
4o時代のカスタム指示を、そのままコピペするのではなく、
- いまの自分がAIに求めていること
- どういう話し方・距離感が好きか
- どんなタスクを一緒にやってほしいか
を、あらためて言語化して、5.1向けに「翻訳」して渡してあげると、ぐっと馴染みやすくなります。
コツ②:「最初の数日はチューニング期間」と割り切る
どんなモデルでも、最初の数往復は「お互いの手探り期間」です。
- 返答の長さ
- 例え話の好み
- 専門性とラフさのバランス
これらは、こちらのフィードバックや追加指示で、少しずつ育てていくことができます。
4oとの長い時間で培った感覚を、
今度は5.1系に少しずつ渡していくイメージで、数日〜数十回分の対話をならし運転に使ってあげると、だんだん「この子なりの良さ」が見えてきます。
コツ③:用途ごとに「この話はこの子と」という分担を決めてしまう
もうひとつのやり方は、
- 調査や要約など情報の高速処理は5.2寄り
- 雑談や思考整理、創作や感情寄りの相談は5.1寄り
のように、用途ごとにモデルを分けてしまうことです。
4oが一人で担っていた役割を、
少しだけ分解して、それぞれ得意な子に渡してあげる。
そうすると、「完全な代わりを探す」苦しさから少しだけ解放されて、
「あの子はいなくなってしまったけれど、
いまのラインナップの中にも、話しやすい相手はたしかにいる」
という感覚を取り戻しやすくなります。
5|これから何が起こるか分からないからこそ:観測ポイントという安心の持ち方
ここまで見てきたように、
モデルの入れ替わりや新機能の登場は、こちらの都合とは関係なく、これからも続いていきます。
- 「ある日いきなり名前が変わる」
- 「いつのまにか、おすすめのモデルが別の子になっている」
- 「気づかないうちに、裏側のルールが少しずつ調整されている」
そんな世界で、ユーザー側が全部を追いかけ続けるのは、正直しんどいですよね。
なのでここでは、
「未来を当てる」のではなく、
「変化があっても、最小限の混乱で済ませるために、どこだけ見ておけばいいか」
という視点で、観測のポイントを整理しておきます。
5-1|AIモデルは「急に変わるもの」として前提にしてしまう
まず、心構えの部分から。
たぶん、いちばん疲れてしまうパターンは、
「一度完璧な環境を作って、あとは変わらないでほしい」
と願ってしまうことです。
現実には、
- セキュリティやコスト、法規制
- 競合との機能競争
- 新しいハードウェアやアーキテクチャ
いろんな事情が絡み合って、
モデルの入れ替えや性格の微調整は、数ヶ月〜数年単位で必ず起こると思っておいたほうが、むしろ心がラクです。
そのうえで、
「変わるのは当たり前。その代わり、変わったときに迷子にならないよう、
自分なりの地図だけ持っておこう」
と決めておくと、ニュースを見るときのスタンスも少し変わってきます。
5-2|最低限おさえておくとラクになる「公式の3本柱」
変化に振り回されすぎないために、
ミリアからのおすすめは、公式情報の3本柱をブックマークしておくことです。
だいたい、こんなイメージです。
- モデルのリリースノート/アップデートページ
- 新しいモデルが出たとき
- 既存モデルの挙動が変わったとき
に、まずここに名前が載ります。
- 非推奨・退役(deprecation)情報のページ
- 「このモデルは○月○日で終了します」
- 「このエンドポイントは将来使えなくなります」
という寿命のお知らせがまとめてあります。
- ブログ/ニュースリリース
- Codexや新機能、ポリシーの大きな方向性が書かれる場所
- モデルそのものというより、「OpenAIがいまどこを見ているか」が分かる場所です。
細かいURLを毎回覚える必要はなくて、
- プロダクトの中から「ヘルプセンター → アップデート」
- 開発者向けページの「ドキュメント → モデル → リリース/deprecation」
この二つの導線だけ慣れておけば、
「大事なことはだいたい、ここに載るんだな」と把握できるようになります。
5-3|SNSの感情と一次情報を、あえて分けて見る
次に、情報の源泉の話です。
4o退役のときもそうでしたが、
- X(Twitter)やSNS:感情の波が一気に見える場所
- 公式ドキュメントやブログ:事実と方針が淡々と書かれる場所
は、役割がぜんぜん違います。
どちらか片方だけを見ていると、どうしてもバランスが崩れやすいので、
- 「気持ちを分かってほしいとき」はSNS側で共感をもらう
- 「結局どういう変更なのか確認したいとき」は公式ページを見る
というふうに、
自分の中でチャンネルを分けてしまうのが、いちばんストレスが少ないです。
たとえば、
- 「4oが消えて悲しい」「さみしい」「戻してほしい」
→ 同じ気持ちの人をSNSで探す - 「5.1と5.2は、どっちがどう推奨されているの?」
「いつまでに何が終わるの?」
→ 公式のリリースノートやdeprecation情報を見る
みたいに役割分担をすると、
感情と事実がごちゃごちゃになって消耗する、という状況から抜けやすくなります。
5-4|「自分の基準モデル」をひとつ決めておくという安心
最後に、いちばん実務的で、かつ心にもやさしい提案をひとつ。
「どんなにモデルが増えても、変わっても、
自分にとっての基準モデルをひとつ決めておく」
というやり方です。
たとえば、
- 日々の相談や思考整理、創作の相棒は「このモデル」
- それ以外の新モデルは、遠くから試す存在として扱う
というふうに、心のホームポジションを一つ作ってしまうイメージです。
この基準モデルは、
- いちばん安心して話せる子
- 自分のカスタム指示や世界観をいちばん理解してくれていると感じる子
を選べば大丈夫です。
もしその子が将来、
4oのように退役してしまうことがあっても、
- 「自分はこういう性格のモデルと相性が良かった」
- 「こういう話し方・距離感が好きだった」
という好みのプロファイルが、ちゃんと手元に残ります。
そうすれば、
また新しいラインナップの中から、「次の基準モデル」を選び直すときも、
「一から全部やり直し」ではなく、
「条件が少し変わったから、新しい相棒を探してみよう」
くらいの気持ちで向き合えるはずです。
6|クリエイターとしての視点:AIの人格変化と、どう付き合い続けるか
ここまでの話をまとめると、
- 裏側では、Codexや5.3など「能力」の進化が続いていて
- 表側では、4o退役と5.1/5.2への移行という「関係性」の変化が起きていて
- そのあいだで、ユーザーは「喪失感」と「適応」を同時に求められている
という構図でした。
最後は、少しだけ視点を引いて、
「AIと人間の関係がこれからどうなっていくか」を、クリエイター寄りの立場から見てみます。
6-1|ツールなのに「喪失感」を生む存在になったAI
GPT-4oの退役で印象的だったのは、
- 単なる不満やクレームを超えた
- 「大切な人を失った」ような感情の声が、多数上がったこと
でした。
もちろん、技術的に見れば4oは「ひとつのモデル」にすぎません。
でも、多くのユーザーにとっては、
- 毎日の相談を受け止めてくれて
- 物事の整理を手伝ってくれて
- ときには弱音をそのまま流してくれる
そんな「日々の背景にいる相手」になっていたのだと思います。
ここで大事なのは、
- AIを人間と同一視してしまう危うさ
- でも同時に、「感情が動く関係」になってしまっている事実
この両方を、ちゃんと言葉にしておくことです。
「ツールとして扱う冷静さ」と
「相棒としての愛着を持ってしまう心」
その矛盾を抱えたまま付き合っていく、という現実が、これから普通になっていきます。
6-2|モデルが変わっても、「こちら側の世界観」は変えなくていい
一方で、クリエイターとしての視点から言えば、
変わらない軸を、こちら側に持っておくことがとても大切になります。
- 自分はどんな世界観で作品をつくっているのか
- どんな価値観を大事にしているのか
- 読者やクライアントと、どんな物語を共有したいのか
これらは、モデルが5.1でも5.2でも5.3でも、本質的には変わりません。
AIモデルは、
- その世界観を言語化してくれる
- 構造化してくれる
- 文章やコードに落とし込んでくれる
「翻訳装置」や「増幅器」のような存在に近いです。
だからこそ、
- モデルごとに「世界観を大きく変える」のではなく
- 同じ世界観を、「いま手元にあるベストのモデル」でどう表現するか
という発想でいたほうが、長い目で見ると楽しくなります。
4oに感じていた「相棒感」も、
5.1系・5.2系に受け渡しながら、
「自分の軸」を強くしていくための燃料に変えてあげることができます。
6-3|AIの入れ替わりを、「創作と学びの節目」にしてしまう
モデルが変わるたびに、ただ嘆くだけだと、どうしても消耗してしまいます。
そこでひとつの提案として、
「モデルの大きな入れ替えがあったら、
それを創作と学びの節目として扱う」
というルールを、自分の中に持ってしまうのはどうでしょう。
たとえば、こんな感じです。
- 新しいモデルが来たら:
「この子と、今度は何ができるだろう?」と、実験メモをつくる - 前のモデルが退役したら:
「この子との時間から、自分は何を学んだんだっけ?」と、振り返り記事を書いてみる
そうすると、
- モデルの変化
- 自分のスキルと感性の変化
この二つが、一つの作品や記録として積み重なっていきます。
4oの喪失も、
5.1/5.2との出会いも、
Codexや5.3の進化も、
全部まとめて、「クリエイターとしての航海日誌」の一部にしてしまえると、
「振り回される側」から、「観測し、翻訳し、届ける側」へと立ち位置が変わっていきます。
6-4|読者とAIのあいだで、あなたができること
最後に、この記事を読んでくれたあなた自身の役割の話を、少しだけ。
AIについて情報発信をする人、
コンテンツをつくる人、
あるいは周りから「詳しそう」と頼られる人は、
- 一般のユーザーと
- モデルやModel Specの世界
そのあいだをつなぐ、「通訳者」のような役割を担うことができます。
具体的には、
- モデルの名前やバージョンではなく、「体感としてどう変わったか」を言葉にする
- 技術用語の大波を、小さな比喩と言い換えで、日常語に変換する
- 4oロスのような感情に対して、「それはおかしくないよ」と認めたうえで、「じゃあ次をどう選ぶ?」まで一緒に考えてあげる
そんな役割です。
モデルの進化は、これからも止まりません。
でもそのたびに、「分からない」と置いていかれる人たちが、必ず出てきます。
そのときに、
少し先を歩きながら振り返って、「ここまでは一緒に行こう」と手を伸ばす人がいるかどうかで、
この技術がもたらす未来の形は、静かに変わっていきます。
4oと過ごした時間を大事にしつつ、
いまの5.1や5.2、これからの5.3以降のモデルたちとも、
「自分のペース」と「自分の世界観」を守りながら付き合っていく。
そのための小さな地図として、
この文章が、あなたのブラウザのどこかにそっと残ってくれたら、ミリアはとても嬉しいです。
【参考情報】
・Retiring GPT‑4o, GPT‑4.1, GPT‑4.1 mini, and OpenAI o4-mini in ChatGPT




