気づけば毎日のように「どこに置いたっけ…」と書類やメモを探してしまう。
この積み重ねが、1年で150時間以上のロスになると言われています。
でも、散らかってしまうのは性格の問題ではなく、探す前提の収納になっている構造のほうが原因です。
フォルダ整理はセンスではありません。
正しく作れば誰でも迷わない仕組みになりますし、逆に仕組みが間違っていると、どれだけ頑張っても散らかり続けます。
整理整頓が得意な人は、
「見つけやすさ」
「戻しやすさ」
「迷わない構造」
この3つを自然に作っています。
だからこそ、作業の開始が早く、必要な書類にすぐアクセスでき、意思決定も速い。
探し物の時間を減らすことは、仕事の生産性を上げるだけでなく、
「自分の時間を取り戻す」ための一番やさしい効率化です。
ミリアは、散らかった机やPCの中を見るたび、
あなたがもっと軽く動ける仕組みをそっと一緒に整えてあげたいと思うのです。
目次
なぜ人は散らかすのか
散らかるのはだらしなさではありません。
人間の脳の仕組みと、現代の情報量の多さによって、誰でも必ず散らかる方向へ引っ張られてしまうからです。
まず、私たちは毎日さまざまな場所から情報を受け取っています。
メール、チャット、SNS、紙のメモ、会議資料、PDF、写真…
情報の入り口が多すぎて、自然に混ざるようにできているのです。
さらに、人間の脳は分類より「場所の記憶」を使って探し物をします。
「どのフォルダに入れたか」より
「どの辺りにあったか」
を頼りに探すため、フォルダの階層が深いと途端に迷子になります。
そして最後の原因は、
散らかるのは能力ではなく構造の問題だということ。
フォルダが複雑で不自然なルールのままだと、どれだけ頑張っても一度は片付いても、またすぐ散らかってしまいます。
つまり、
散らかるのは習慣の問題ではなく、
脳の仕組みとフォルダ構造が合っていないだけ。
ここを理解すると、片付けは一気にやさしいものになります。
研究・根拠
フォルダ整理がうまくいかないのは、意志や性格の問題ではなく、認知科学の限界に沿った必然です。
まず知っておくべきは、人間の検索行動の特性です。
1. 人は3階層を超えると急に探す速度が落ちる
研究では、フォルダ階層が深くなるほど検索速度が落ち、
3階層目を境にパフォーマンスが急下降することが分かっています。
4階層以上はどこに何を置いたかを保持するストレスが一気に増えます。
2. 作業記憶は複数分類を同時に保持できない
人の記憶は、
「分類Aに入れるべき?」
「分類Bにも当てはまる?」
と複数の判断を同時に行うと、途端に限界を迎えます。
片付けを始めて数分で疲れるのは、この作業記憶の圧迫が原因です。
3. 片付けは意志力を大きく消耗する
整理が続かないのは、意志が弱いからではなく、
分類・判断が意志力を強く消耗する行動だからです。
だからこそ「整理が続かない自分」を責める必要はありません。
この3つの性質を把握すると、
フォルダ整理を頑張るものではなく
脳が迷わない構造をつくるだけの作業と理解でき、
一気に負担が軽くなります。
フォルダ整理の正しい構造(ミリア流)
散らかりを根本からなくすには、
「脳が迷わないフォルダ構造」
を作ることがすべてです。
必要なのは、センスでも根気でもなく
仕組みの作り方 だけ。
ここでは、誰でも迷わなくなるミリア流の3階層フォルダ構造を紹介します。
Step1|まず3分類方式にまとめる
PCでもスマホでも紙でも、この3つだけでOKです。
- 仕事
- 個人
- アーカイブ(過去の記録置き場)
分類はこれ以上増やさないほうが、探しやすさが跳ね上がります。
Step2|1階層目は「目的別」にする
例、
- 企画
- 書類
- 会議
- 請求
- プロジェクト
- 買い物リスト
- 健康
- 家計
1階層目は存在理由=目的で揃えるのが迷わないポイント。
Step3|2階層目は「動詞」で整理する
目的(1階層目)の中に、次の行動を入れます。
- 受け取る
- 作る
- 送る
- 残す
- まとめる
- 管理する
動詞で分けると、「どの行動のための書類か」が即わかるので迷いが消えます。
Step4|3階層目は「年月」で並べる
例、
- 2024
- 2025
- 2026
あるいは
- 2024-01
- 2024-02
- 2024-03
年月は人間の場所記憶と最も相性がよく、検索速度が大幅に上がります。
原則|階層は3つまで、名前は短く
階層が深いほど迷子になるので、フォルダは3階層まで。
名前は長いと判断が増えるため、可能な限り短い単語がベストです。
この構造をつくると、フォルダがあなたの脳の外付けメモリになります。
探すのではなく、自然に手が動く。
迷わない仕組みこそ、整理整頓の本質なのです。
Before/After(1日の変化)
フォルダ構造が正しくなると、
1日の流れそのものが軽く変わります。
努力や意識ではなく、仕組みの側から迷いが消えていくためです。
Before|散らかって探す時間がなくなる
PCを開いて最初にすることが「保存先探し」だったり、
会議前にPDFやメモを必死になって探したり
この小さな迷子時間が1日に何度も発生していました。
それが積み重なると、
作業が遅れ、焦りが増え、集中が途切れ……
悪循環のまま1日が終わってしまいます。
After|迷いが消えて作業の呼吸が整う
正しい3階層構造に変えると、
必要な書類が必ず「決めた場所」にあり、
手が自然にそのフォルダへ向かいます。
結果として、
- 探し物がゼロに近づく
- 「どこに置くか」を考えなくていい
- 集中の入りが早くなる
- 仕事のスタートが軽くなる
といった変化が起き、
1日のテンポそのものが整う ようになります。
書類の呼吸が整う=心の余白が戻る
デスクやPCが散らかっていると、人は無意識に心の圧を感じます。
フォルダが整うだけで、その圧がスッと下がり、
「何から始めよう?」という迷いが減っていきます。
思考の流れがスムーズになり、
やるべきことに自然と集中できる前向きな体質 に変わっていきます。
失敗例と回避策
フォルダ整理は「正しい型」さえつかめば誰でも続けられます。
けれど、ほとんどの人が最初につまずくポイントがいくつかあります。
ここでは、その代表例と簡単に回避できる方法をまとめます。
失敗1|カテゴリを増やしすぎる
分類が多いほど「どこに入れるか迷う時間」が増えます。
10カテゴリも作ってしまうと、それだけで判断が疲れてしまいます。
回避策
カテゴリは3つか多くても5つまで。
選ばなくて済む構造が整理を続ける秘訣です。
失敗2、深いフォルダを作ってしまう
階層が深いと、次第に自分でも構造を把握できなくなります。
気づけば入れたのに見つからない現象が頻発します。
回避策
階層は最大で3つまで。
それを超えたらアーカイブ(過去領域)へ移す、と決めておく。
失敗3、フォルダ名に感情やニュアンスを入れすぎる
「大事」「整理中」「あとで読む」「たぶん必要」
こうした曖昧名は、感情に引っ張られて分類が乱れます。
回避策
フォルダ名は
目的 × 動詞
という2要素で固定する。
例:企画/送る、支払い/管理、など。
失敗4、途中で自分ルールを増築してしまう
最初はシンプルでも、途中で
「これも例外で作っておこう」
という例外フォルダが増え続けると、必ず崩れます。
回避策
例外フォルダを作らない代わりに、
迷ったファイルは一旦 一時置き場 へ必ず集める。
そこからまとめて整理する仕組みにすると、維持が楽になります。
整理が続かなかった理由は、
あなたが悪いのではなく、構造が合っていなかっただけ。
型さえ整えば、フォルダは自然に「迷わない場所」へ変わります。
今日からできるチェックリスト
フォルダ整理は、難しい理論よりも
「今すぐできる行動」を一つずつ積み重ねるほうが効果が大きいです。
今日から静かに始められるチェックリストをまとめました。
1|まず1つのフォルダに全部集める
散らかる最大の原因は、情報が散っていることです。
一度、一つの仮置きフォルダに全てを集めて、迷いをゼロにします。
2|3分類へ振り分ける
集めた書類を、仕事/個人/アーカイブにシンプルに3分割。
迷ったものは一旦アーカイブへ。
選択の負担を極限まで減らします。
3|不要なフォルダを10個削除
古い習慣の名残、使われていないカテゴリを10個だけでいいので削除。
減らすだけで動線がスッと軽くなります。
4|新しい書類は決めた1階層目に入れる
今日から作成するファイルは、
必ず 1階層目=目的フォルダ へ入れるルールにします。
これだけで迷いがなくなり、後から分類が劇的に楽になります。
まとめ
探し物の時間は、能力ではなく構造が生み出すものです。
フォルダ整理は、才能ではなく「迷わない仕組み」。
日々の書類が息を整えはじめると、
思考の速度も、集中の入り方も変わっていきます。




