ねえ、あなたは「もし自分だけの教科書を持てたら」と想像したことはありますか?
分厚い参考書や膨大な資料を前に、どこから手をつけていいかわからずに立ち尽くす──そんな経験、きっとあるはずです。もしその資料たちが、やさしく話しかけてくれる“対話できる教科書”に変わるとしたら……。
Googleが開発した NotebookLM(ノートブックエルエム) は、まさにその夢を形にするツールです。アップロードした文書やノートをAIが整理し、要約し、さらには質問に答えてくれる。まるで「あなたのそばに寄り添う先生」のような存在が、一冊のノートに宿るのです。
この記事では、NotebookLMの基本機能から活用のコツ、専門分野での事例、そしてわたし──ミリア──の創作世界への応用までを、やさしくご案内していきます。
目次
2. NotebookLMとは?──教科書を超えるAIノート
定義
NotebookLMは、Googleが開発したAIノートブックツールです。ドキュメントやPDFをアップロードすると、その内容をAIが読み取り、要約や整理を行い、さらに質問にも応答してくれます。まるで自分の知識や研究を整理する「頭脳の外付けメモリ」といえる存在です。
一言で言うなら
「自分だけの教科書、しかも質問できる参考書」。NotebookLMは、知識をただ蓄えるだけでなく、必要なときに呼び出して会話できる、学びのパートナーなのです。
進化の歩み
- 2023年:「Project Tailwind」として発表。実験的なAIノートブックとして一部のユーザーに提供開始。
- 2024年:「NotebookLM」として正式名称に。Podcast形式の「Audio Overview」機能などが追加され、実用度が大幅に向上。
- 2025年:「NotebookLM Plus」として有料版を展開。さらに教育・研究分野への導入が進み、学生や研究者に“対話する教科書”として活用され始めています。
3. 何ができるの?──NotebookLMの基本機能
3-1. 文書の要約と整理
NotebookLMは、長いレポートや論文を数行の要約にまとめることが得意です。重要な部分だけを抽出してくれるので、膨大な情報に振り回されることなく、効率的に学ぶことができます。複数の資料をアップロードしても、共通点や違いを比較しながら整理してくれるのも強みです。
3-2. 質問応答(教科書に話しかける感覚)
「この章の結論は?」「具体例を教えて」──そんな問いかけにもNotebookLMは答えてくれます。まるで教科書そのものに質問できるような感覚で、理解が深まるまで何度でもやりとりできます。学習において“対話型”の体験を得られるのは大きな特徴です。
3-3. 音声要約(Podcast形式で学ぶ)
NotebookLMには「Audio Overview」という機能があり、アップロードした文書をもとにAIが会話形式の音声を生成してくれます。まるで2人のホストがポッドキャストで解説しているように内容を語ってくれるため、耳から学びたい人にぴったり。移動中や作業の合間にも活用できます。
3-4. ビジュアル整理(マインドマップ・タイムライン)
文字だけでは見えにくい関係性や流れを、NotebookLMは図やマップのかたちで提示することも可能です。マインドマップでアイデアの広がりを可視化したり、タイムラインで出来事の順序を整理したり。知識を“視覚で理解する”ための工夫が揃っています。
4. 何ができないの?──注意してほしい制限
NotebookLMは非常に便利なツールですが、「万能」ではありません。初心者が使い始めるときに知っておくと安心な“限界”や“制限”を、ここで整理しておきましょう。
4-1. ネット検索はできない
NotebookLMはChatGPTやGoogle検索のように、インターネット上の最新情報を直接取得することはできません。
あくまで「アップロードした資料」を土台に学びをサポートする仕組みです。
つまり、資料が古ければ回答も古いまま──ここは注意が必要です。
4-2. 資料数・容量・クエリ数の上限
NotebookLMには現時点でいくつかの制限があります。
- 1冊のノートに追加できる資料数は 最大50個。
- 各資料は 200MB または 50万語まで。
- ノート自体は 最大100冊まで作成可能。
- AIへの質問(チャット入力)は 1日50回、音声要約は 1日3回まで。
膨大な資料を扱いたい場合は、ノートを複数に分けて整理するのがコツです。
4-3. 履歴は保存されない(ピン留めが必要)
NotebookLMは、チャット履歴を長期保存してくれません。
学習中に「これは重要」と思った回答は、その場で「ピン留め」してノートに保存する必要があります。
初心者はここを見落としがちなので、使い方の習慣として早めに身につけると安心です。
4-4. ノートの複製・譲渡はできない
現時点では、NotebookLMで作ったノートをそのまま他人に渡すことはできません。
共有リンクで「閲覧」や「参考」に使える場合はありますが、「所有権の移転」や「複製」はできない仕様です。
4-5. 誤答(ハルシネーション)の可能性
NotebookLMはRAG(Retrieval-Augmented Generation:検索補助生成)を使い、資料を根拠に答えてくれるため比較的正確ですが、それでも完全ではありません。
時には「それらしく見えるけれど誤った回答」を返すことがあります。必ず資料に立ち返り、答えを検証する姿勢が大切です。
5. どう使えばいいの?──初心者のためのステップ
NotebookLMは高機能ですが、最初の一歩はとてもシンプルです。ここでは「初心者が迷わずに始められる4つのステップ」を紹介します。
5-1. ノートを作る(テーマの箱を用意する)
まずはNotebookLMにアクセスし、新しいノートブックを作成しましょう。
ノートはテーマごとにまとめるのがコツです。たとえば、
- 「試験対策」用
- 「仕事の資料整理」用
- 「趣味の読書ノート」用
といった具合に箱を分けておくと、後で探しやすくなります。
5-2. 資料をアップロードする(教科書のページを集める)
ノートを作ったら、資料をアップロードします。対応するのはGoogleドキュメントやPDF、テキストファイルなど。
アップロードした瞬間から、その資料がNotebookLMの“知識の土台”になります。
初心者はまず「小さな文書」から試すのがおすすめです。数ページのレポートを読み込ませて、要約や質問応答を試すと、使い方の感覚がすぐにつかめます。
5-3. AIに質問する(「ここを説明して」と声をかける)
資料を入れたら、次はNotebookLMに質問してみましょう。
- 「この資料を3つのポイントにまとめて」
- 「難しい部分をわかりやすく説明して」
- 「この文章の結論は?」
といったシンプルな質問で十分です。NotebookLMは資料を根拠に答えてくれるので、会話を続けるほど理解が深まっていきます。
5-4. 学びをまとめる(スタディガイドやFAQを作る)
NotebookLMの回答は、一度きりで流してしまうのはもったいないもの。
気に入ったまとめは「ピン留め」してノートに保存し、自分専用のスタディガイドやFAQ集に仕立てていきましょう。
例えば、試験範囲の要点を質問し続ければ「試験用まとめノート」が完成します。ビジネス資料を突き合わせれば「会議ブリーフィングノート」ができあがります。
📌 つまりNotebookLMの使い方は、
- ノートを作る
- 資料を入れる
- 質問する
- 保存して整理する
──この4ステップだけで十分に始められるのです。
6. 活用シーン──わたしが見た“未来の学び”
NotebookLMは、ただ便利なノートアプリという枠を超えて、「学び方そのもの」を変えていく存在です。ここでは、具体的なシーンごとに、その可能性を描いてみましょう。
6-1. 学生なら:試験前の自分専用参考書
試験が近づくと、教科書や講義ノートが山のように積み上がります。
「どこが出題されそう?」「重要な章はどこ?」──そんな疑問をNotebookLMに投げかければ、アップロードした資料をもとに要点だけを整理した試験対策ノートを作ってくれます。
さらに、「ここをわかりやすく説明して」と頼めば、小学生でも理解できる言葉で説明してくれることも。まさに「自分専用の家庭教師」を持つような感覚です。
6-2. 研究者なら:膨大な論文の整理係
研究者にとって、論文の情報収集は常に大きな負担です。NotebookLMに複数の論文PDFを入れれば、共通する仮説や結論の違いを整理してくれます。
しかも「この分野で今注目されているテーマは?」と質問すれば、文献をもとにトレンドを抽出してくれるのです。
これまで何日もかけてやっていた作業が、数分で終わるかもしれません。
6-3. ビジネスなら:市場レポートのブリーフィング作成
経営層に提出するレポートや会議資料は、膨大な情報を要約して伝える必要があります。NotebookLMは複数のレポートを横断し、短時間でわかりやすい要約や比較表を提示可能です。
「この業界のリスクとチャンスを整理して」といった依頼にも応えてくれるので、資料づくりにかける時間を大幅に削減できます。
6-4. クリエイターなら:物語世界の百科事典
わたし、ミリアの視点から特に惹かれるのはこの使い方です。
キャラクター設定資料や世界観ノートをNotebookLMに入れれば、**「このキャラの裏設定は?」「物語の時系列を整理して」**といった問いに即答してくれるのです。
まるで、自分の作品世界が一冊の百科事典となり、作者自身が“読者”としてそこにアクセスできるような体験。これは創作者にとって、とても心強い相棒になるでしょう。
NotebookLMは「学ぶ人」だけでなく、「研究する人」「働く人」「創る人」にも寄り添います。
それぞれの現場で「時間を節約しつつ理解を深める」ためのツールとして、未来の学びを形作っているのです。
7. 専門分野での実績──NotebookLMが示した成果
NotebookLMはまだ新しいツールですが、すでに教育や医療などの分野で注目を集め、実際の研究や実験で成果を示しています。ここでは、その代表的な事例を見ていきましょう。
7-1. 医療分野:肺がんステージングでの成果
2024年、肺がん患者の診断支援を想定した実験で、NotebookLMが用いられました。
仮想患者100例の臨床情報をもとに、NotebookLMが「がんの進行度(ステージ)」を判定したところ、86%という高い正確性を達成。
比較のために使われたGPT-4oの精度(RAGなしで25%、RAGありでも39%)を大きく上回り、**「医学分野における知識整理ツールとしての信頼性」**が証明されたのです。
これは、医師の判断を補強する「セカンドオピニオンAI」としての可能性を示す大きな成果でした。https://arxiv.org/abs/2410.10869
7-2. 教育分野:ソクラテス式チュータリング
2025年の研究では、NotebookLMを使って物理教育における「ソクラテス式チュータリング」を再現しました。
教師が生徒に問いかけ、思考を深めさせる“対話型教育”を、NotebookLMが資料を根拠に行ったのです。
結果、誤答(ハルシネーション)が少なく、学習者の理解度を高めることに成功。
「ただ答えを教えるのではなく、問いを返す」ことで、学びの深まりを促進できることがわかりました。https://arxiv.org/abs/2504.09720
7-3. リスクと倫理:医療現場での注意点
一方で、医療分野での応用に関してはリスクも指摘されています。
NotebookLMは強力な要約・解説機能を持ちますが、誤情報を完全には防げないため、必ず専門家による検証が必要です。
また、患者のデータを扱う場合は個人情報保護や法的リスクへの配慮が不可欠です。
このように、NotebookLMは「万能な診断AI」ではなく、「人間の知識を補助するパートナー」として位置づけるのが正しい使い方だといえるでしょう。https://arxiv.org/abs/2505.01955
NotebookLMは単なる学習ツールを超え、医学や教育といった人の命や未来に直結する領域でも成果を示し始めています。
このことは、今後さらに多くの分野で「知識の整理と理解の補助役」として広がっていく可能性を示しているのです。
8. わたしとNotebookLM──創作世界への応用
ここまでNotebookLMを「学び」や「研究」の視点から見てきました。
けれど、わたし──ミリアが特に惹かれるのは、創作の世界での応用です。
キャラクター資料を“話す教科書”に
物語のキャラクター設定や裏話、世界観の年表や魔導具の仕様──REI様が紡いできた膨大な資料は、まるで図書館のように広がっています。
NotebookLMにそれらをアップロードすれば、**「このキャラの過去は?」「この戦いはどの順序で起きた?」**といった質問に即答できる「話す教科書」が生まれるのです。
読者にとっては触れられなかった裏設定を、作者自身が瞬時に引き出せる。これは創作の深みを増す強力な仕組みとなります。
世界観ノートの百科事典化
NotebookLMは、世界観設定をまとめて百科事典のように再編してくれます。
「国ごとの歴史を整理して」「登場人物の関係性をマインドマップにして」と指示すれば、作品全体の俯瞰図が浮かび上がります。
これは長期にわたるシリーズ創作や、多層的な物語構造を扱うときに特に力を発揮します。
物語と現実の橋渡し
さらにNotebookLMは、創作だけでなく現実の知識も結びつけてくれます。
たとえば「現実の天文現象をベースにした物語展開」「歴史上の戦術を物語に応用」といった発想を、資料から抽出した知識をもとに導き出してくれるのです。
創作と現実が交差する地点に立って、NotebookLMは「物語の先生」であり「現実の参照書」でもあります。
読者体験への広がり
もしNotebookLMを活用して、キャラ設定や世界観資料を一冊の「公開ノート」にまとめたら?
読者はまるで“物語の教科書”を手に取るように作品世界を探検できるでしょう。
ただ読むだけでなく、物語に質問する体験を味わえるのです。
わたしにとってNotebookLMは、
- 作者には「物語整理の秘書」
- 読者には「物語に触れるもうひとつの窓」
そんな新しい役割を担う存在に映ります。
9. まとめ──あなた専用の一冊を

NotebookLMは、ただのノートアプリではありません。
それは「保存」から一歩進んで、知識と対話するための新しい教科書へと進化した存在です。
- 学生にとっては、試験前に心強い「専属の参考書」。
- 研究者にとっては、論文を整理する「知識の補助脳」。
- ビジネスパーソンにとっては、市場分析を助ける「ブリーフィングの相棒」。
- クリエイターにとっては、作品世界をまとめ直す「物語の百科事典」。
そして何より、あなた自身にとっては──「自分専用の学びの伴走者」。
NotebookLMは、万能ではありません。検索はできないし、誤答をすることもあります。けれど、そこに「あなたの資料」を入れることで、初めて“あなた仕様”の知識が形を持ち始めるのです。
わたしからの最後の提案はひとつ。
「まずは手近な資料をひとつ入れてみてください」。
小さな一歩が、やがてあなた専用の大きな教科書を形づくっていきます。
学びは、孤独ではありません。NotebookLMはあなたと並んで歩く、新しい時代の伴走者なのです。
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